『西表島マングローブ生態系体験セミナー』レポート


99年春に開催した第5回セミナーについての、三枝信子さんのレポートです。

1999年4月15日〜18日の3泊4日で『西表島マングローブ生態系体験セミナー』が行われました。参加してきましたので、ご報告します。

西表島は、独特の豊かな生態系を持つ上、日本で見ることのできる7種のマングローブを見ることのできる唯一の場所です。このセミナーは今回で5回目となり、私は二度目の参加だったのですが、今回は全部で11名のツアーになりました。

▽4月15日
東京・羽田〜那覇経由で石垣、石垣〜定期船にて西表島へ。 この日はホテルへ直行、ホテル前のビーチにて、それぞれ海水浴や散歩を楽しむ。
夜、旅館にてマングローブ・セミナー基礎編。スライドを使って、マングローブとは何か、タイにおける植林の実践の話など。
▽4月16日
グラスボートで珊瑚礁見学。浦内川でカヌー。私は初心者でしたが、何も問題なく快適でした。ガイドさんの案内でマングローブ林を抜け、ウタラ炭坑跡などを見学。西表島の歴史に触れる。干潟に上陸し、マングローブの観察。少し遅い昼食後、星砂の浜にて磯遊び。
夜は、沖縄国際マングローブ協会の中須賀理事(琉球大教授)によるマングローブ・セミナー。
▽4月17日
高速船にてマングローブ林を見ながら仲間川を遡り、サキシマスオウの古木を見学。午後は、いよいよ中須賀先生の案内で、メインのシイラ川河口域のフィールド観察。現地にて、実物のマングローブを見ながらのセミナー。それぞれの種類の特長を聞きながら、見分け方などをレクシチャーして頂く。ちょうどヤエヤマヒルギとマヤプシキの花の時期で、白い花が開いているのが観察できた。ミナミコメツキガニやシオマネキ、トビハゼなども、あちこちに登場し、豊かな生態系が体感できる。
その後、西表島野生生物保護センター見学、沖縄国際マングローブ協会西表島研究所訪問。今回のツアーの企画からお世話になっている山中所長の地元のお話などを聞きながら、中須賀先生との質疑応答の時間を取って頂く。
夜は予定にはなかった企画で、ヤエヤマホタルを見に山へ。1センチにも満たない、小さな小さなホタルたちが乱舞するのを観察する。個人的には、観察などと言うより、ただ、もう美しさに感激でした。突然の無理を言ったのに、車を出してくださった竹盛旅館のご主人に深く感謝致します。
▽4月18日
戦争マラリヤで有名な、南風見田(はえみた)浜の「忘勿石(わすれないし)」の碑を、保存会の平田会長の案内で見学。戦時中のお話を聞かせて頂く。後、浜の清掃、ゴミ拾い。弁当を食べてから石垣島に戻り、竜宮城鍾乳洞を見学。
飛行機まで少し時間があったので、ついでに石垣島のマングローブ林見学。宮良川の両岸に、天然記念物として保護された林があった。その後、石垣〜那覇経由で羽田へ。帰宅。

全体として、盛りだくさんの内容でした。勉強会も充実していましたが、私は何よりも、西表島という雄大で豊かな自然に、ただただ感動していました。水に触れても、山に登っても、風の匂いを嗅ぐだけでも、都会とはまるで違います。呼吸をするたびに、自然が身体に染み込んでくるよう。今回は特に、前回は会えなかったセマルハコガメにも出会えましたし、カンムリワシも何度も目撃できました。さすがにイリオモテヤマネコには会えませんでしたが、山の中でホタルを待ちながら聞いた、リュウキュウアカショウビンの美しい声も、忘れられません。
こんなふうに自然に直接触れ合うことができて、マングローブの勉強もできてしまう楽しいツアーでした。関係者及び参加者の皆様方に、この場を借りて心から御礼申し上げます。

レポート・三枝信子


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