プアン・カン−日・タイ友好マングローブ植林2001 ニュースレター No.3
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「日・タイ友好マングローブ植林 2001」に多くの皆様に参加申込みいただきありがとうございます。
9月にアメリカで大変なテロ事件が発生し、まだ国際情勢の推移から目が離せませんが、私達のボランティア植林が無事に実施でき、ささやかですが国際平和の増進に貢献できることを念願しております。
地球温暖化防止と地道な環境学習
高木 史人(東京工業大学 非常勤講師)
(清水建設)
(実行委員)
 日本は、1997年12月の地球温暖化防止京都会議(COP3)で、2010年までに温室効果ガス(以下CO2)を1990年に比べて6.0%削減することを約束しましたが、1999年度では既に6.8%増加しており、これから12.8%も削減しなければなりません。
 日本政府の温暖化防止対策は、1998年6月に制定した「地球温暖化対策推進大綱」をベースとしていますが、"この大綱は、施策の具体性が不明確で、目標値をフォローアップする仕組みも無いため、CO2の削減には殆ど役立っていない"という批判が、気候ネットワークなどの環境NPOから寄せられています(朝日新聞2001.7.24)。2001年7月の気候変動枠組み条約締約国会議(COP6.5)において、2002年に京都議定書が発効する目途が立ったため、日本政府は、早急に"実効性のある大綱"への作り替え作業に着手しなければなりませんが、環境省と経済産業省(産業界)との綱引きなどが想定され、先行きは不透明です。
 この様な不透明な対応も、全てはそこに関与するる人々の"環境認識のズレ"からくるものであり、あらためて、行政・事業者・市民を含む国民全員の環境学習の重要性を痛感しております。
 個人が環境学習を深めてゆく段階としては、次の4ステップが考えられます:1. 興味 → 2.勉強 → 3.行動 → 4.普及 → 1.(繰り返し)。
 タイへ行ってマングローブ植林しようというボランテイアは3.以上の方々ですが、"環境問題を2.勉強はしても、なかなか3.行動までは出来ない"という方々もたくさんおられます。もし、日本国民全員が第4段階まで到達出来れば、きっと、我が国は世界一の環境保全国家になれると思いますが、そう簡単ではありません。
 環境学習のスタートは、身近な環境問題に関心を持つことが第1段階であり、ここが最も肝心なところです。小生は、1998年10月から環境問題の講義をさせていただいており、一人でも多く第4段階まで到達し、環境保全型社会の実現を推進する"社会システム変革の主体者"となってもらいたいと思い、試行錯誤を続けております。
 講義では、出来るだけ"現場の声を通じた感動"を伝えるため、自分の体験したことを中心に話し、そうでない場合は、他の特別講師をお願いしたり、ビデオなどの映像を活用しております。しかし、1回90分の座学だけではどうしても伝わらない"感動"を体験してもらうため、特に、タイのマングローブ植林への参加を勧めており、毎年何人かの学生が参加し、大きな感動を持って帰国してくれることがとても嬉しいかぎりです。
 この様な地道な環境学習活動を継続し、日本に環境保全型社会を実現したいと考えております。

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