プアン・カン−日・タイ友好マングローブ植林2001 ニュースレター No.3
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マングローブの基礎知識
<生き物の生活場所としてのマングローブ林>
マングローブの生態系
 マングローブが茂っているところでは、エサや木陰、産卵場所を求めて魚類、エビ・カニ、昆虫、鳥類、ほ乳類といった多くの種類の生物が集まってきて、豊かな生態系をつくっています。
 マングローブ林は木立ちや支柱根が密生しているので、潮が満ちてくると水中に棲む生物にとってのジャングルになり、エビ・カニ、稚魚などにとっては、大きな魚や鳥などの外敵からの攻撃を避ける格好な隠れ家になります。また繁った木々は、熱帯の強い日光を遮って日影を作り、卵や稚魚にとって快適な水温を保ちます。このようにマングローブは陸上生物だけではなく、水中生活をする小動物や稚魚などにとっても安全で棲みやすい環境をつくっています。
常緑樹であるマングローブは一年を通して絶えず葉を落とし、それが腐植してプランクトンのエサになります。そのプランクトンを稚魚や稚エビが食べ、それら稚魚をエサとするカニや小魚類が、そして小魚を追って中型、大型の魚や鳥などが集まってきます。これらの動物の排泄物や死がいがマングローブ林に落ちると、微生物によって窒素やリンに分解され、それをマングローブが肥料として吸収し成長します。これがマングローブ林の中の食物連鎖であり、物質循環です。また、マングローブ林に集まった海生生物たちがそこを離れて沖に行き、さらに遠くにいる鳥や獣などのエサとなることにより、マングローブを出発とした食物連鎖も形成されています。
マングローブ林における主な物質循環
マングローブ林における主な物質循環

人々にとってのマングローブの役割
 マングローブ林は、その周辺で生活している住民に大きな恩恵を与えてくれ、地元住民の生活にとって欠かすことのできない大事な場所となっています。
<資源としてのマングローブ林>
  1. マングローブ湿地では小魚や貝、カニなどが豊富に採れ、地元住民の食糧供給源になっている。
  2. マングローブは良質の燃料である。マングローブの木から作った炭は、固くて火カが強く、日本にも輸入されている。
  3. マングローブの丸太は腐りにくい建築資材で、高床式の住まいの柱や床に使われる。屋根はマングローブの一種であるニッパヤシの葉で葺(ふ)かれ、壁にも使われる。
  4. マングローブは日用品の原材料として現地の人々の生活を支えている。さらに下痢薬、止血剤、目薬、湿布薬、発疹薬などの薬が作れるマングローブ種があり、マングローブの樹液からは糖、酢、発酵飲物、燃料用アルコールなどを作ることもできる。
<防波堤としてのマングローブ林>
 マングローブは、不安定な海岸にしっかりと根を張って安定させ、海岸地形の保全に重要な役割を果している。それは自然がつくった理想的な防波堤で、単なる地形的な侵食に対してだけでなく、高潮から内陸を守り、さらに海岸地域の農業を塩害から守っている。

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