プアン・カン−日・タイ友好マングローブ植林2001 ニュースレター No.3
INDEX Page 1 Page 2 Page 3 Page 4 Page 5 Page 6
 
マングローブの基礎知識
世界のマングローブ
  マングローブは、世界の海岸線の8%、熱帯地方の海岸線の4分の1を縁取っています。しかし、ここ数十年間にほぼ半分のマングローブ林が失われてしまい、現在世界に残されたマングローブの総面積は約18万km2(熱帯林の総面積約1,400万km2の1.3%)に過ぎません。
 マングローブ林が消えた原因は、(1)水田などの農業用地やエビ養殖池への転換、(2)燃料(蒔や炭)や木材需要の増加にともなう過剰伐採、(3)住宅や工場建設のための沿岸域の開発、(4)スズ鉱石の採掘、などです。この中で日本の私達の生活とも密接に関係しているのがエビ養殖池への転換です。1970年代にエビの養殖技術が開発され、輸出産業として東南アジアに急速に広がり、次から次へとマングローブ林が伐採されてしまいました。
 タイ国においては、1961年に3,700km2あったマングローブ林が1991年には1,700km2にまで減少してしまいました。タイ政府は、1991年より「マングローブ植林5ヶ年計画」を策定し、南部タイ15州を対象にマングローブ植林を本格的に進めるようになりました。しかし、その後も過剰伐採、養殖池への転用が続き、1998年にマングローブ林の全面伐採禁止が打ち出されるにいたりました。マングローブが伐採されて放置されたままの荒地や放棄されたエビ養殖池は、自然にまかせておいてもマングローブ林へ回復されることは難しいので、人工的に植林し、再生を図ってゆくことが必要となります。
世界のマングローブ林の現状
  1990年代面積
km2
(構成割合)
アジア 75,173 41.6
オセアニア 18,788 10.4
中東、北アフリカ 1,492 0.8
アフリカ 36,512 20.2
南米 24,084 13.3
北米、中米、カリブ諸国 24,749 13.7
世界計 180,798 100.0
"World Resources 2000-2001"
マングローブを原料とする炭焼き(タイ)

 エビの養殖は、マングローブ林を伐採してしまうという直接的なことだけでなく、養殖池から排出される排水、それに含まれる糞やエサの残り、植物プランクトンなどの有機物や殺菌・殺虫のための化学物質によって沿岸海水が汚染され、沿岸域のすべての生き物に影響を与えるという点でも問題を持っています。また、エビ養殖池は数年しか存続できず、そのようになったところを再生させるには多額の費用を必要とします。新たなマングローブ林の伐採を必要とせず、周辺環境への負荷を抜本的に減らした養殖技術の開発、持続的なマングローブ利用への転換が今後の重要な課題であり、その試みが最近オーストラリアやタイではじめられたところです。

日本の冷凍エビ輸入量     (貿易統計)
暦年 1992年 1996年 2000年
輸入量合計 276千トン 291千トン 248千トン





中国 12.6% 5.6% 6.7%
ベトナム 8.4 9.7 13.4
タイ 17.0 11.5 7.5
フィリピン 6.7 3.0 3.4
インドネシア 19.6 22.1 20.1
インド 11.9 19.1 20.2
その他 23.8 29.0 28.7
100.0 100.0 100.0
(注)この表は「冷凍シュリンプおよびプローン」の輸入量で、日本のエビ輸入の約94%(2000年)を占める。この他に冷凍していないもの、いせえび、ロブスター、調整食品に加工したものが輸入されている。

Prev. Page Next Page